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和のテイストを纏ったワンオフモデルのフェラーリ・ローマが登場

Writer:大貫直次郎 

フェラーリが最新ワンオフモデルのローマを発表。藍染や裂き織り、ろうけつ、柄巻、茶筒、家紋など、日本の伝統工芸をオマージュしたアイテムを内外装の随所に採用

 伊フェラーリは2022年5月17日(現地時間)、同社のテーラーメイド部門が手がけたワンオフモデルのローマ(Roma)を発表した。

▲テーラーメイドのフェラーリ・ローマ 日本の伝統工芸をオマージュしたアイテムを内外装の随所に取り入れた

 今回披露されたワンオフモデルは、フェラーリがデザインやカルチャー、テクノロジーに特化した米国の独立系出版社「クール・ハンティング」の創設者であり、数々の賞を受賞しているエヴァン・オレンステン氏とジョシュ・ルービン氏に、3855cc・V型8気筒DOHCツインターボエンジン(620ps/760Nm)を搭載するFRクーペモデルのローマのカスタマイズを持ちかけたことに端を発する。この提案を了承した両氏は、早速フェラーリのチーフ・デザイン・オフィサーであるフラヴィオ・マンゾーニと米国ニューヨーク市のフェラーリ・テーラーメイドのショールームで会合し、カスタマイズの方向性を議論した。

▲今回のワンオフモデルは米国の独立系出版社「クール・ハンティング」の創設者であるエヴァン・オレンステン氏とジョシュ・ルービン氏が、フェラーリのテーラーメイド部門とタッグを組んで製作した

 両氏から熱心に提案されたのが、日本の伝統工芸の活用。クール・ハンティングでは会合の以前に、調査の目的で何度か日本を訪れており、その際に見学した日本の伝統工芸や職人技にすっかり心を奪われていた。品質へのひたむきなこだわり、顧客との心のふれあい、そして世代から世代へと受け継がれてきた最高の職人技――イタリアと日本における、こうした文化やデザイン哲学の類似性に、フラヴィオ・マンゾーニ率いるプロジェクトチームも感銘を受ける。そして、日本の伝統の技によって生み出されるユニークな素材を活用し、フェラーリが得意とする技術革新で手を加えて、現代のハイパフォーマンスカーに求められる耐久性と機能性を実現しようという構想が生み出された。

▲日本の伝統的なインディゴ染料である藍からインスピレーションを得た特別塗装色の「インディゴ・メタル」を開発

 まず、日本の伝統的なインディゴ染料である藍(あい)が、カラースキームのインスピレーションとして採用される。クール・ハンティングは日本有数の藍の産地である徳島県を訪れ、5軒しか残っていない藍農家の1軒である外山氏から、藍について学んでいた。そして、この経験を活かした特別な塗装色をフェラーリと手がけ、鮮やかな藍系のブルーを開発する。これをフェラーリは「インディゴ・メタル」と名づけた。インディゴ・メタルはローマのピュアなクーペフォルムを見事に際立たせ、あたかも光がボディワークの上を流れる、瀟洒な陰影ラインを創出した。

▲シートトリムのインサートには藍色の裂き織りを採用。車内で使用するうえで必要な耐久性を確保するために、伸張性に優れたナイロンを織り込む

 内包するインテリアも藍系のブルーを基調とし、全体としてさりげない統一感を生成する。また、シートトリムのインサートやカーペットには、藍色の裂き織りを取り入れた。裂き織りは1700年代にまでさかのぼる技法で、世界的に見ても非常に古いアップサイクルの一形態。着古した着物をほどき、布を裂いて糸にして、新しい糸とともに織り直すことで、暖かく快適で長持ちする生地に生まれ変わらせる。フェラーリでは、この裂き織りをシート表皮のアクセントに応用するために、新しいソリューションを考案。奄美大島で作られた2枚の古い着物、1枚は約75年前の藍染めの着物、もう1枚は藍染めの糸とともに奄美大島の有名な泥染めの糸を用いた約45年前の大島紬を裂き織りに使用する。そして、通常では着物を裂いたものに綿や絹の糸を織り込むところを、車内で使用するうえで必要な耐久性を確保するために、伸張性に優れたナイロンを織り込んだ。新しい表皮アクセントの製作は、オリジナルの素材が作られたのと同じ奄美大島の、はじめ商事が行った。

▲カーペットも藍色で仕立てる。ドアシルプレートには家紋を装着

 藍のテーマは、ヘッドライニングにも活かされる。ここには京都の浅井ローケツで染めた2枚の藍染めの革を使用。1枚はクルマのカラースキームに合わせて作られた独特の単色で、もう1枚には8世紀にまでさかのぼる“ろうけつ”の技法を用いて、手作業で柄が描かれる。この2枚の革は、イタリアに送られて帯状にカットされ、イタリアの職人の手によってイントレッチオと呼ばれる編み細工となり、世界で1枚だけのエレガントな芸術品に昇華した。

▲ヘッドライニングには京都の浅井ローケツで染めた2枚の藍染めの革を使用

 インナードアハンドルも、日本の伝統技法からインスピレーションを得る。刀の握る部分を包む柄巻(つかまき)という技法をオマージュし、ブラックの革ひもを手作業できつく巻きつけて、オリジナルのドアハンドルを製作した。

▲シフトゲートまわりやレバー、デュアルコクピットを取り巻くアウトラインなどのディテールに銅メッキを採用

 クール・ハンティングが銅製の茶筒で知られる京都の老舗、開化堂を訪れた際に得た伝統技法からもインスピレーションを受ける。開化堂の茶筒は非常に精巧な作りのため、気密性が高く、蓋を本体にかぶせるとゆっくりと下がっていく。また、銅は使い込むと自然に独特の風合いを帯びていく。これをヒントに、フェラーリはシフトゲートまわりやレバーなどのディテールに銅メッキを採用。メッキ加工は日本で施した。さらに、デュアルコクピットを取り巻くアウトラインやホイールリム、家紋にもこの銅色を使用した。

▲ホイールリムにも銅色を取り入れる

 前述の家紋は、センターアームレストとドアシルに設けたデディケーションプレートとしてあしらわれる。家紋自体は、日本の家紋のデザイン会社である京源がデザイン。平安時代の貴族の乗り物である牛車の車輪に、ローマのV8エンジンの8本のピストンをスポークとして組み合わせた。8というテーマは、幸運、パワー、復元力の象徴として、車輪を取り囲む8つの波にも取り入れている。

▲牛車の車輪にローマのV8エンジンの8本のピストンをスポークとして組み合わせた、専用デザインの家紋をセンターアームレストに配備

 なお、クール・ハンティングのために特別に製作されたテーラーメイドのフェラーリ・ローマは、ニューヨーク・デザイン・ウィーク(NYC X DESIGN)の期間中、ニューヨークのフェラーリ・テーラーメイド・ショールームに展示された。

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